君に咲く花火
女性の叫ぶような声が聞こえる。

そしてウアンの気弱な声。
重ねるように女性は叫ぶと、ウアンはそそくさと鉄格子から逃げるように出て行った。

ドアの音が聞こえ、ウアンは消えたようだ。

「ぐ・・・」

目をゆっくり開くと、そこにはアイスの顔があった。

「アイス・・・」

痛くてたまらない。

アイスは何も言わずに、鉄格子の中から出てゆく。

「アイス?」

ガシャン。ガチャガチャ。

ああ、やっぱりそう簡単には逃がしてくれないか・・・。

< 239 / 388 >

この作品をシェア

pagetop