君に咲く花火
「女の子、たくさん売られた。私、昔、悲しかったよ。たくさん悲しくて、人間、うらんだよ」

なにを言えばいい?

どんな言葉も、私が言うには軽すぎる。

黙って、私はアイスを見つめるしかできない。

「ここに来る女の子、はじめは泣く。叫ぶ。そして、また泣く。でも、最後は静かになる。私もそうだった」

「・・・」

「わかるから。自分が、売られる、わかるから。もう、心、死ぬ」

想像もつかない。

ここに、たくさんの女の子が来て、たくさんの涙が流れて、そして売られていったなんて。

「アイス」

出した声は枯れていた。

「同じ気持ちを感じているなら、なんで? ウアンは確かにアイスを助けたんだろうけど、それってほんとうの意味で助けたことになるの?」
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