君に咲く花火
アイスが怒りに満ちた顔で、鉄格子を両手でつかむ。

「日本人、うるさい! タイのこと知らないのに言うな!」

「知らないから言えるの! アイスはきれいな心持ってるじゃん。女の子たちのこと思って、苦しんでるじゃん! やりたくないことやってるから、苦しんでしょう!?」

言葉につまったアイスが顔をそむけた。

「・・・私にはわからない。アイスがどんなに苦しんできたか、どんなにつらかったか」

アイスは鉄格子を握ったまま、座り込んだ。

肩がうなだれている。

「知らない人に売られる、なんて、本当につらかったんだね。悲しかったんだね」

「・・・う、うう」

肩が震え、アイスは泣き声を静かにもらした。

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