君に咲く花火
窓からの景色はゆるやかに流れ、やがて滑走路に出たようだった。
すごいスピードを出して飛行機が走り出し、ジェット音が地響きのように響く。

圧が体にかかったかと思った瞬間、ガクンと軽い振動とともに、窓からの景色が下に下がった。

いや、機体が上昇している!

「すごーい」

へばりつくように景色を見ていると、あっという間に町がどんどん遠く離れてゆく。
車も歩く人もすぐに見えなくなり、気づくと、周りには雲が。
同じ目線で雲を見るなんて、なんて不思議!

これから、お姉ちゃんの待つタイへ行くんだ。

私の夏が、今、はじまったんだ。


シートに座り直し、ふぅと息を吐く。

今朝はかなり早起きをした。
心地よい疲労感がやってくる。

・・・少しだけ、休憩しよう。
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