君に咲く花火
ようやくまわりを見る余裕ができた。

日本の病院とはつくりは違うけれど、漂う薬品の匂いは同じだった。
右にある台には、携帯と財布、そして袋に入ったクリスタルのゾウが置いてあった。

私とアイスは、ソムチャイに助けられて病院に運ばれ、ウアンはその場で警察に逮捕されたらしい。

ナイフを構えてゆらりと近寄ってくるウアンの映像が浮かび、私は身震いをした。

ソムチャイが助けてくれたんだ・・・。


・・・あれ?


「ねぇ、ソムチャイは?」

姿が見えない。

ソムサックが指で上を指した。

「8階に入院してる」
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