君に咲く花火
エレベーターを降りると、すぐに802号室は見つかった。

ふたり部屋だったが、ひとつのベッドは空いているようで、誰もいない。

カーテンが引かれている間から声をかける。

「ソムチャイ?」

不思議と迷いはなかった。

その名前を呼ぶことが、それだけでうれしかった。

「・・・実羽」

静かに私は中に入る。

ソムチャイはなぜかベッドに腰かけていた。

「実羽」

私を見つけると、にっこりと笑う。

そして、そのままゆっくりと両手を広げた。
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