君に咲く花火
「なっ・・・」

お父さんはそう言うと、ガバッと立ち上がった。

「お、俺は会うつもりはない! 絶対会わんぞ!」

そう叫んだかと思うと、大股でリビングを出て行ってしまった。


「あぁ・・・失敗しちゃった」

つぶやいて横を見ると、冷ややかなお母さんの顔。


「なんのために遠いとこまで行ったのよ。そんな日焼けまでして」

「だってぇ・・・」

「ほら、喉かわいたでしょ。お茶飲みなさい」

トクトクと冷たいお茶がグラスに注がれる。

「ありがと」




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