君に咲く花火
「え?」

「そもそも、卒業旅行でサムイ島に行きたいって言ったときに許すんじゃなかったんだ」

「もう・・・」

私は苦笑する。

「今さらそんなこと言っても仕方ないじゃん」

「かわいいひとり娘が外国に住んで、しかも外国人と・・・」

声が震えている。
また泣いているようだ。

「あのね、お父さん。お姉ちゃんはあまりワガママは言わない性格でしょう? 代わりに私がワガママだらけだったじゃない」

「・・・ああ」

「その分、お姉ちゃんがこうと決めたら、それは意地でも押し通したじゃん」
< 324 / 388 >

この作品をシェア

pagetop