君に咲く花火
「・・・ってる」

ボソリとつぶやく。

「え?」

「知ってるよ。サムイ島なら」

今度は私がびっくりしてお父さんを見る番だった。

「行ったことあるの?」

「遠い昔、な。タイにもお父さんの会社があって、まぁそこは人にまかせっきりだけどな。ついでにサムイ島にも連れて行ってもらったことがある。もう、10年も前の話だ」

へぇ・・・。

そんなこと一度も聞いたことなかった。

「じゃあ、いい場所ってことは知ってるんだよね? 海もキレイだし、青空もすんごい広いんだよ」
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