君に咲く花火
「ここ・・・ここにいるよ」

「・・・実羽。花火、見たかった・・・」

「なに言ってるの。今年がダメでも、毎年あるんだから。マイペンライでしょ」

「ふ・・・マイペンライ」
少しだけソムチャイの口がゆがんだ。

「よかった・・・。実羽、会えた」

「ソムチャイ、これからもそばにいるよ。ずっとそばにいるって約束したでしょ」

ソムチャイの顔色が白くなってゆく。

「美羽、楽しかった。たくさん笑った・・・」

「これからもっ。もっともっと笑えるよ!」

「・・・実羽? ・・・いる? まだいるの?」

うわごとのようにソムチャイが言った。

手を握る力がどんどん弱くなる。
体温がどんどん・・・。
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