君に咲く花火
顔をハッとあげたお父さんが、さらに真っ青になる。

「たのむ! 果凛にだけはっ」

「じゃあ、約束」

「約束?」

私はお父さんの耳に口を寄せて言った。

「お姉ちゃんの結婚を認めること。それだけ。そしたら忘れてあげる」

「なっ・・・」

「イヤならいいよ。お姉ちゃん言っちゃうから」

そう言い捨てて立ち上がろうとするのを、
「ま、待ってくれ」
とお父さんが引き止める。

「わかった、わかったから! 約束する。認めるよ、結婚を」

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