君に咲く花火
私はにっこりと笑ってお父さんを見た。

「はい、じゃあ今からお姉ちゃんとソムサックに“おめでとう”と言ってきて。ここで見てるから」

「・・・」

「早く行く。ちゃんと笑顔でね」

しぶしぶ立ち上がったお父さんが、のそのそとお姉ちゃんたちのところに歩いてゆく。

驚いた顔のお姉ちゃんとソムサックに、なにかお父さんが言っている。

みるみるお姉ちゃんの顔が泣き顔に変わったかと思うと、
「お父さんっ」
と抱きついた。


それを見て、私はひとり微笑む。
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