君に咲く花火
白いワゴン車の荷台に軽々とスーツケースを入れると、ドアを開けて私を見た。

「・・・ありがと」

車内はガンガンにクーラーが効いていて、一瞬で汗がひっこむほど。

「じゃ、出発」

そう言うと、ソムサックはサングラスをかけると車を動かした。

「お姉ちゃんちまではどれくらい?」

「10分くらいかな」

ラジオからタイ人と思われる女性の歌声が聞こえる。

窓からの景色は、南国だからか、なんとなく沖縄っぽい。
いや、行ったことはないんだけど、イメージが。

ヤシの実が生い茂り、野良犬が駆け回っている。
古き良き日本のイメージというと、それも違う。

砂ぼこり舞う土道を走る車。

ぽつぽつと食堂のような小さな建物やお土産物屋さんが流れてゆく。
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