君に咲く花火
繁華街らしき通りには、観光客とおもわれる西洋人があふれていた。

いたるところにバイクが路上駐車していて、かきわけるように車は走る。
いちばんにぎわっている通りを右に曲がると、少し進んで車は停車した。

「つきました」

ソムサックの声に車から降りると、そこには白いアパートのような建物が目の前にあった。

さほど新しい感じはなく、白いペンキ部分がところどころはげている。
『PLOI HOTEL』と壁に書いてあった。

「え? プロイホテル? ホテルにお姉ちゃん住んでいるの?」

「そうだよ」

そう言うと、ソムサックはスーツケースを片手で持つと、どんどん中に入ってゆく。

「待って待って」

追いかけると、すでにソムサックは小さな受付のようなところでアロハを着たスタッフと話している。

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