君に咲く花火
一歩ホテルから外に出ると夕方とはいえ、うだるような暑さが体にまとわりついた。

「こっち」

ソムチャイに言われるがまま、歩みをすすめるとやがてさっき通ってきた繁華街に出た。

みんなシャツや短パンというふうに薄着で歩いている。
中には上半身裸の男もいた。

道の両側にはおみやげ物屋やレストランが並んでいて、客寄せの声が聞こえる。

「ここは、メインストリート。さわがしいね」

ソムチャイが言った。

「でも、楽しそう」

「欲しいものあったら言う」

「はぁい」

そう言いながら、ゆっくりとひとつずつの店を見て歩いた。
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