君に咲く花火
お土産物屋といっても、カバン屋があったり靴屋があったりと見ているだけでも楽しい。

どの店も、ほとんどクーラーがないらしく、店内と外とを区切る自動ドアのようなものはない。

あけっぴろげ、という感じ。

「え、これブランド物じゃない?」

財布が並んでいる店で、見覚えのあるマークを見つけて私は言った。

手に取って見てみると、間違いない。
私があこがれてやまないブランドだった。

「それ、にせもの」

ソムチャイが首をふった。

「にせもの? えー、本物みたい」

と言っても、本物を持っているわけじゃないからよくわからないけど、革製でしっかりしている。
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