君に咲く花火
「にせもの、よくない。空港でとられる」

「ああ、買っても空港で没収されちゃうってこと? それはやだね」

そう言いながら、棚に財布を戻した。

歩き疲れた私は、ソムチャイにお願いしてクーラーの効いた喫茶店に入ってもらった。

「the Coffe」という、そのまんまの名前の喫茶店。

クーラーが気持ちよくて、
「あー生き返る」
と思わず笑顔になる。

ソムチャイは意味がわからない様子だったが、にっこり笑ってくれた。

「ここ、観光客相手。高いよ」

「え、高いってどれくらい?」

さっきもらったお金で足りるかな・・・?
急に不安になり、メニューをめくる。

あまりに高いようなら、すぐに出よう。

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