君に咲く花火
「だから、『緊急事態』って手紙を送ったのよ。それに、ちゃんと実羽は来てくれたじゃない」

うれしそうに胸に手を当てる。
タイ語でソムサックになにかを言うと、ソムサックも同じように手を胸に当てて微笑んだ。

「ぶ、ちょっと待って。私、協力しないよ。今回、タイに来るだけで大変だったんだもん」

「う・・・」

「いや、お父さんとお母さんには、やっぱり直接お姉ちゃんが直接言ったほうが・・・」

「うう・・・」

声に顔を向けると、今まさにお姉ちゃんの両目からぼろぼろと涙がこぼれおちるとこだった。

「もう、また泣くんだから」

そう言いながらも、私はわかっている。
この涙に、何度“YES”と言わされたのか・・・。

そして、今回もきっと・・・。

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