君に咲く花火
携帯をしまうと、私はお母さんを見た。

「ね、お姉ちゃんのとこ行かせて。てか、行きたい」

「は?なに言ってんのよ」
アニメならゴゴゴゴと、お母さんの後ろに炎が燃えるかのような場面。

「だってさ、もしかしたらお姉ちゃんさ、『つらくてタイにいたくない』っていう悩みがあるのかもしれないよ」

お母さんが、片目を上げて、
「ん?」という表情をしたのを確認して私は続ける。

「もしも、戻りたいって思っているならチャンスじゃない?私がちゃんと連れて帰ってくるからさ」

「・・・そうねぇ。緊急事態って書いてあるなら、そういうこともあるのかもねぇ」

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