愛しい瞳【完】
愛しい瞳
「あ、雪だ!!」
ある冬の日の昼下がり。雪が空からはらはらと舞い落ちるのを見たアレンはそう叫ぶと、部屋の隅に掛けてあった上着を掴み、慌てて外に飛び出しました。
「雪ーっ!!」
外へ出たアレンは今年初めて見る雪に大はしゃぎ。掌を天に向け、雪をその手に捕らえようとします。けれども雪はアレンの手に乗るや否や溶けて水へと変わってしまいました。
アレンは結晶を見ることができないことを残念に思いましたが、すぐに消えてしまう雪の儚さを愛しく思い、キラキラとした瞳でその様を見ていました。
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