愛しい瞳【完】

「うん、そう。ところでアレン、一つお願いがあるんだけどいいかな?」

「何? ガブリエル」

いきなり何だろう、アレンは疑問に思いながら聞き返しました。

「君の左目を僕にくれないかな?」

「え……」

突拍子もないお願いに驚いたアレンは一歩、二歩後退りました。

「代わりにこの瞳をあげるから。その夜のように綺麗な黒い瞳がどうしても欲しいんだよ」

ガブリエルはポケットから取り出した瞳を左手に乗せ、アレンに差し出しました。ガブリエルの瞳と同じ、綺麗な赤い瞳を。

「……いいよ」

どうせ僕の左目は使い物にならないんだ。周りの人から避けられる原因の、こんなガラクタの代わりにあんな綺麗なものが手に入るならいいや、そう思ったアレンはガブリエルに微笑みました。
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