愛しい瞳【完】
「僕が愛しているのは瞳の中の水晶と綺麗な色だけだから。他のものは要らない」
ガブリエルは雪の白にやけに映えて見える瞳の内側の黒に向かい、吐き捨てるように言いました。
「アレンの瞳の色は素敵だから、大事に取っておかないと」
前側の半球から水晶体を取り外すと、そっとそれに口付けてから、首に下げていた透明な小さな箱の中に入れました。
「嗚呼、やっぱり綺麗だ」
まだ生まれてから十年と経たないアレンの水晶は透き通っていて、ガブリエルはその美しさに恍惚とした表情を浮かべました。