愛しい瞳【完】
ガブリエルは綺麗なものを手に入れた嬉しさからか、水晶を摘む指に力を入れてしまいました。その途端、ぷちりと水晶が弾け中からぺとぺとした液体が出てきました。そして、ガブリエルの後ろの方ではどさりと何かが倒れる音がしました。
「ああ、またやっちゃった」
ガブリエルは乾いた笑い声をあげると、指についたものを舐めとりました。
「さようなら、アレン」
後ろを振り返り、ガブリエルはそう呟くと、純白の翼を広げ雪の舞う空へと飛び立ちました。ガブリエルの去った後には我が子の名前を叫ぶ母親の悲鳴が響いていました。