*悪役オムニバス*【短編集】



*


小さな城の、小さな地下牢。

だが小ぶりと言えど、やはり牢に変わりはない。

階段を降りるほどに闇は深くなり、ぽつぽつと廊下を照らす灯篭ばかりが、やけに鮮明に光っている。

ユキノは久しぶりに、王家の嫡男さながらの服を着た。


いいや……着せられたのである。


王家の者らしくしろと。

そんな簡素な服はみっともないと。


魔法使いと暮らしていた家できていた服は、侍女たちに取り上げられてしまった。


(ごめんよ、魔法使い……!)


無事で。

どうか無事ていてくれよ。


ユキノは強く願いながら、地下牢の階段をおりて行った。



















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