*悪役オムニバス*【短編集】
魔女裁判にかけられたものは、最終的に、下手人として処刑台に立つことになる。
そして死刑執行人の凶刃によって、首をか刈られるのだ。
斧を振り上げた死刑執行人のそばに、うつむいて跪く魔法使いが思い浮かぶ。
ーーー嫌だ!
ユキノは王子を思い切り突き飛ばすと、尻餅をついた王子をはねのけ、馬宿へと走った。
だがそこには、もう早い馬は一頭だっていやしない。
みな、魔法使いを捕らえに出かけた衛兵たちが、乗って行ったのだ。
その日の夜に、魔法使いが捕らえられたとの知らせがあった。
ユキノは半ば閉じ込められる形で自室にいた。
そのせいで、衛兵たちのところまでいくことはできなかった。
だが自室のテラスから見えたのは、優雅に微笑みながら連れて来られた、魔法使いの姿だった。