*悪役オムニバス*【短編集】



*


御堂の掛け軸をめくると、その先の壁には楕円形の穴が空いていた。

そこをくぐると、一本道がくねる暗黒の道に出た。

周囲にはなにもない。

ただただ黒。

歩ける道は、朱が塗りたくられた和風の橋のみ。

漣に手を引かれ、優菜はその橋をまっすぐに進んだのだった。

数十分という長い時間をかけ、橋は巨大な檜の門へと辿り着いた。


「羅刹の門じゃ」


漣は笑う。




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