*悪役オムニバス*【短編集】
ぐりゅり、と、細い指が克利の節穴に潜り込む。
ブドウに似た球体を掴み取ると、そのまま引きちぎる。
「あ``あああああッ‼︎」
克利は絶叫した。
その血まみれの眼球を手にし、優菜はなおも優しげな眼で、その眼球を舐める。
「こいつぁ、食べてもいいですかい?」
食っても食っても食い足りぬ、とばかりに、小鬼が優菜に問う。
「ええ……存分にどうぞ」
優菜が言うなり、小鬼はうずくまる克利に飛びかかった。
生きながらに肉を食いちぎられ、齧られ、凄絶な痛みを味わう克利を、優菜はぞくぞくと身体を震わせながら見守っていた。