*悪役オムニバス*【短編集】
「美香ちゃん……。
それって、もしかして反省してくれてるの?
心の底から、悪いと思ってくれてるの?」
優菜は、怒っているとも喜んでいるともつかぬ声色で、美香に聞いた。
美香はこくこくと、なんども頭を振る。
「いま、さら……許してなんて……言わない……。
殺してくれても……構わない……。
でも……私が悪かったって……思ってたこと、は……忘れないで……」
美香は嗚咽の混じった声で言い募る。
優菜は驚愕からか、目を見開いていた。
形のいい唇を震わせ、うずくまった美香を、そっと抱き寄せる。
冷たかった美香の身体が、暖かい熱に包まれた。
「で?」
優しげな優菜の声とともに、美香は、腹に凄まじい痛みを感じた。