いきば〜禁断の蕾〜(完結
其処まで聞いて桜井は、何と無く蕾の泣いている理由を把握した。

それでも慰める言葉が思い付かず
黙って泣いている蕾を見ていることしか出来なかった。



しばらくして

落ち着いてきた蕾は

「桜井さん有難う落ち着いたよ」

言いながら桜井にハンカチを返した

「いえ何も出来なくて申し訳有りません」

桜井は困った様に苦笑いをした。

「桜井さんのお陰でスッキリしたよ」

蕾は首を横に振って言うとニコッと笑った。

桜井も釣られて微に笑う

「あれ?
そう言えば桜井さん何処か行ってたの?」

蕾は、桜井の服装が運転用なのに気づき問掛けた

「あっはい
昭一様をお迎えに」

桜井の言葉に

「昭一?」

蕾は頭を傾げた

「昭一様が久しぶりに帰って来られて」

桜井は蕾に説明する様に言った



あんまり姿を見たことが無かったけど


あの人家に元々居なかったのか

「知りませんでしたか?
昭一様は5年程前から転勤されていて帰って来るのは1年ぶりですね」

桜井は更に蕾に説明してくれた。

「へぇーそうだったんだぁ」


知らなかった。


蕾は言いながら窓の外に何と無く目を向けた。
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