いきば〜禁断の蕾〜(完結
「会えない」

キッパリと答える男の子


答えなど分かっていた。



だが寂しくて


涙は止まらなかった。



もう、母と父に会えないなんて嫌だ。

「嫌だ嫌だぁ」

蕾は、泣きじゃくった。


いくら泣いたってたって


母と父が帰って来ない事くらい分かっていた。


男の子が困る事も分かっていた。

だが、泣かずには居られなかった。



「お父さんと、お母さんに会いたいなら目を瞑れば良い。
いつでも会える」


男の子は、そんな蕾を見て冷たい口調で言った。

だか蕾は、その言葉で何だか温かくなった気がして男の子を見上た。

少し泣くのを止め、瞳を閉じてみる


母と父が笑っていた。


「本当だぁ」

蕾は、笑って再び男の子を見上げた。

「良かったな、それに

お前の両親は灰になって天国へ行くんだ悲しむ事はない。」

相変わらず冷たい口調の男の子

それでも
蕾は、なんだか安心出来た。

「本当に?天国かぁ
なら、お母さんもお父さんも幸せだよね。」

蕾は、煙突を見上げ微笑んだ。

男の子は、蕾のその顔を見るとクルリと向きを変え

「戻ろう」

そう言うと火葬場へ向け歩き出した。
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