いきば〜禁断の蕾〜(完結
「蕾」

背後からの恐ろしい声に反射的に背筋が凍る

「ちょっと、私の部屋に来なさい」

蕾が振り返る前に
声の主は、それだけ言うと向きを変え
その場を離れた

コツコツ

ヒールの音が高く響く

その音が消えてから
蕾は、やっと振り向いた

その者の姿は、既にに見えないが
蕾には何者なのか分かっていた。

蕾は、行きたく無いと思った。

だが行かなければ…



重い足を上げ

蕾は歩き始めた。



コンコン

ある部屋の前で足を止め
扉をノックする

ユックリと扉が開く

蕾には、その瞬間が凄く長い時間に思えた。

「入りなさい」

不適な笑みを浮かべ
部屋から顔を出したのは沙紀

そう
ここは沙紀の部屋

蕾は、沙紀に呼び出されたのだ

「はっはい」

言葉が詰まる蕾
必死の思いで沙紀の部屋に入った

同時に扉を閉める沙紀

思わず振り返る

扉が閉まると同時に
沙紀は、急に顔つきを変えた

「ムカつくのよ、その顔」

沙紀は、低く呟くと蕾に近づいて来る

反射的に後ずさりする蕾

「もう辞めて下さい叔母様」

目元を赤くして叫ぶ蕾

背中が壁にぶつかる

前には沙紀
逃げ場を失った。
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