いきば〜禁断の蕾〜(完結
振り向ける訳ない


蕾は困悪し黙っていた。



「神宮の命令は絶対だ」

低く響く初騎の声


それを言われたら

蕾は言う通りにしなければならない

ユックリ振り向く蕾

痣だらけの顔が月明かりに照らされる

うつ向く蕾

「こっ転んだ…」

蕾が言い訳の言葉を発しょうとした
その時

おおい被さる暖かくて重いもの

「え?初騎くん?」

呆気に取られる蕾

なんと初騎が蕾に抱きついて来たのだ

思いがげない事に、蕾は固まる

「ごめん、気づいてやれなかった」

珍しく感情的に震える声で蕾の耳元で囁く初騎

「なっ何を謝ってるの?
初騎くんの性じゃないよ」

慌てて言う蕾

「沙紀にやられたんだろ?」

『沙紀』
何故か初騎は自分の父と母を名前で呼ぶ

「ちがっ転んだんだよ」

慌てて否定する蕾

「嘘つくの下手なんだよお前」

呟く初騎

「初騎くん…?」

初騎のらしくない行動

初めて見せる感情の乱れ

蕾は、どうしょうか分からず

ただ戸惑う


急に蕾の肩を掴むと
少し押し
自分から離すと目を合わせる初騎

いつも見せている真面目な顔


いつも見てるはずなのに



蕾の胸はドキッと高鳴った
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