いきば〜禁断の蕾〜(完結
「蕾?私を見なさい」

表情を変え、命令口になる彩乃

戸惑う蕾

「あっ私、鞄置いて…」

その場しのぎに鞄を置きに行こうとする蕾

「蕾!」

慌てて引き留めようとする彩乃

蕾は、腕を捕まれ動け無くなった

振りほどこうにも振りほどけない


あれ?


おかしい


彩乃にこんな力がある訳ない

顔を下げたまま振り返る蕾

黒いズボンが目に入る

男子か
ならこの力は頷ける

「顔…上げろ」

これまた厳しく言う言葉
でも声で分かった

秀哉君だ

「やっヤダ」

小さく言う蕾

「なら仕方ねぇな」

秀哉は、そう言うと蕾の頬を両手で支え
無理矢理上げさせた

「つっ」

顔を歪める蕾

蕾の痣だらけの顔が二人に晒け出される

彩乃と秀哉の驚く顔が目に映った

二人の顔付きは、直ぐに怒りの顔に変わる

「酷い!誰にされたましたの」

「誰にされた」

二人共声を荒げる

「階段から落ち…」

「そんなわけ無いだろうが」

「言いなさい」

誤魔化そうとした蕾の言葉を遮る二人の声。

二人は騙されない

「蕾、ねぇ貴女が心配なの
隠し事なんてなさらないで」

今にも泣き出しそうになる彩乃
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