いきば〜禁断の蕾〜(完結
彩乃には、蕾が唯一の親友だ

その親友がこんな怪我して黙っている
心配でたまらないのだ

「そうだぞ蕾
誰にやられた?」

秀哉は、優しく問掛けて来る

二人に隠し事など、蕾にも気が引けた

言ってしまったら
どんなに楽か

でも神宮の言う事は絶対

それに二人に心配を賭けたくない

蕾はそう思い

「ごめん」

一言謝り自分の席に戻る

間の良い事に調度チャイムが鳴った

みんな席に着く

急に静かになって


蕾は、一人ぼっちになった気がした


チラっと初騎に目を向ける

昨日の様に本を顔の上に乗せ眠っている


心がズキンと痛んだ


でも、ずっと見ていたいと思った


お母さん何で浮気なんかしたの?

お父さんとあんなに仲良かったじゃない

浮気しなかったら
蕾は生まれて来なくて済んだのに


初騎を好きに成らずに済んだのに


胸だって痛くならなかったのに…


蕾は、前を向き机にうつ伏せた。













「蕾」

名前を呼ばれ顔を上げる

「もうホームルーム終わったわよ」

優しく自分を見下ろす彩乃

どうやら少し寝てしまっていた様だ
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