一生に二度の初恋を『あなたへ』
喫茶店から歩いて10分くらいで着くわたしの家。
ここら辺は細い道が沢山あって裏道が多いから、迷いやすいけど、把握すると色んな所に短時間で行ける。
それが中学二年生のとき引っ越してから何年か住んできて分かったことで。
路地裏に入ると静かで殺風景だけれど、大通りに出ると意外に都会チックということも知った。
ちなみにわたしの家はどちらかというと路地裏の住宅地の方なんだけど、駅も近くて交通の便もいい。
わたしは家に着くと、いつものようにポストを開けた。
ポストの中にポツンとあったのは一通の手紙。
--佐藤 春様--
桃色の封筒に書かれた丁寧な文字。
宛先は書いてあるのに、差出人はいつも空白。
「今月も届いた……」
わたしは手紙を手に取ると、その手紙を見つめながらポストをゆっくり閉める。