一生に二度の初恋を『あなたへ』


白を基調としたシンプルで落ち着いた部屋。



斎藤くんの部屋……?

って言っても独り暮らしだから、全部斎藤くんの部屋なんだろうけど。


『ごめんなさい』後退りしながらドアを閉めようとすると、勉強机の上に置いてあった写真と手紙が目に飛び込んで来た。



それはわたしがよく知っている桃色の封筒と。

わたしに似た――どこか違うとすれば髪の縛り方だけの。



ポニーテールの女の子と斎藤くんの写真。


頭の中でそれが誰なのかはすぐに理解できた。

だって隣にいる斎藤くんを見れば分かる。


まだ幼くて、恥ずかしそうにうつむいた顔、でも大好きってしっかりその顔に書いてある。


そして後ろには赤、青、紫と沢山のカラフルな花が花畑のように順序よく綺麗に植えられていて、中央に大きな桜があった。

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