一生に二度の初恋を『あなたへ』


あぁ……。


何でいつも春さんの話をすると泣きそうな顔をするの?


そんなに、好き?

そんなに、忘れられない?


答えはYESに決まってる。


笑ってよ。せめて笑って?

そしたらわたしは春さんを責める建前の口実が無くなる。

春さんは悪くないのに……湧き上がる妬みのような感情に吐き気がする。



瞬くんたちと一緒にいた結愛ちゃんを妬んだ女の子とわたしは一緒だ。だって、こんなにも羨ましくて、恨めしい。


やり場のない感情は春さんに八つ当たりをする以外に、どうやって発散すればいいの?


わたしは腕に付けていたゴムをとる。


下ろしている長い髪をただまとめて、ポニーテールに縛った。


わたしがもし春さんになれたら。

なったら。



この人は……幸せになりますか?



「斎藤くん。春はもう十分幸せだよ?」

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