一生に二度の初恋を『あなたへ』
・片想いの行方
夏休みが過ぎた。
学校はあれからあったもののすぐに終わって、夏休みは宿題とか、手伝いとか、最近始めた小学生の従兄弟の家庭教師とか。
沢山やらなければいけないことがあって、休む暇なくこなしていった。
全て忘れたい。
それだけを考えてただ必死に自分を追い込んだ。
でも小さな隙間の時間。
蘇った――…どう忙しくしたって不意に記憶が頭を過る。
どれだけ経っても、何故かそれは消えず、その度に心臓が掴まれて苦しくなって。
あの日以降あの人と一切連絡はとらなかった。夏休みで良かったと思う。
でも、そんな状況を時間が解決しないまま、新学期はやって来て……席替えで離れた今、普段ならクラス内でも顔を合わせないことはできるのに、文化祭の準備でまた顔を合わせる機会が増えてしまった。
明日に向かえた文化祭。
準備が終わり、みんなが帰った後教室の点検をするのは学級委員の仕事だ。