一生に二度の初恋を『あなたへ』
「誰かその看板廊下出しといて欲しいんだけど」
文化祭の朝。
眩しい。ワイワイと準備を進める教室に一直線に差し込む光。
早く来ないとこういう光景って味わえないよね。
朝の何とも言えない光の中。目が眩むけど、カーテンで遮るのは勿体無い。
わたしはそんな光を浴びた看板を両手で持ち上げた。
わたしの背を遥かに追い越して、前が見えない。小股でちょこちょこと歩いていると、ふわっと浮いたように軽くなった。
「瞬……くん!?」
「廊下から見ると看板が勝手に動いてたから驚いたよ」
ほら、と言って瞬くんは看板を持って見せるけど頭が看板の上から出てるから看板が動いているようには見えない。
わたしが小さい訳じゃなくて、瞬くんが大きいんだよね。