一生に二度の初恋を『あなたへ』
「瞬くんは駄目だよー」
「俺も自分で思った」
「斎藤ー。こっち手伝えー」
男子の声が響き、わたしたちが笑いあってる横をあの人が通りすぎる。
それだけで、わたしの場所だけ時間がゆっくり流れているかのように動きが一瞬止まる。
ーー違うな…。
いつもなら、わたしと瞬くんが話しているとき、絶対にはいってきてくれたのに。
そんな小さな行動の違いにもう前とは違うんだと、もう、これで何度気づかされただろうか。
目では追わずに、また瞬くんとの会話に戻った、過ぎていくのをただ噛み締めながら。
「あははは……」
「高梨さん?」
覗きこむようにわたしを見る。
瞬くん、ち、近い…。
瞬くんは自分のパーソナルスペースっていうのかな。他人が入っても良い距離が広いと思う。
斎藤くんもそうだった。
「ちょっそこどいて」
「え……あっ……」