一生に二度の初恋を『あなたへ』


遠くからでも見つけてしまって、顔を見るとまたあの日を思い出して、目をそらす。


冷静になって思い出す度に、被害妄想だって分かってるけれど、傷つけられた気分になる。

でも、やっぱり自然と探してしまう。


この厄介な感情はどれくらいの時間をかければ消えるのだろうか。



「いらっしゃいませー」

「優、そろそろ休憩で抜けていいよ」


気がつくともう一時になっていた。


「ほら瞬のクラスの劇、一時半から」


「結愛ちゃんは……?」

「わたしは無理かも…一応現場監督みたいなものだし」

「そっかぁ……分かった」


販売専用のメイド服のような白いフリルのついたエプロンを外して椅子にかけると教室を出た。

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