一生に二度の初恋を『あなたへ』
口調も荒く、すごい勢いで迫ってくる斎藤くんに圧倒された。
「あの雨の日。春さんの代わりに、わたしにキスしたでしょ……」
まず最初に大前提として話したことを呆れたような顔で斎藤くんは否定した。
「代わり?違う。
春が誰かの幸せを侵すような人間じゃないって、必死に俺の罪を包み込んでくれた、高梨が愛しくて。
自分のテリトリーに、自分のことを考えてくれてる前からずっと気になってた人がいると思ったら、もう離したくなくて、いつの間にか止まらなくなってた」
「へ……?」
愛しい?頭が付いていかなかったけど、真剣な表情だから、嘘ではないのだろう。
それでも、全て覆されたような事実に一瞬で呆然とする。
「春は関係ない。高梨を、高梨だけを想って、した」
素直な言葉に身体が熱くなって固まった。
「う……そ」
「……それさえも伝わってなかったのか」
あちゃーと今にも声に出しそうなくらい項垂れている。
「でも春さんに逢いにいくって」