一生に二度の初恋を『あなたへ』


「確認したかった。春に逢うことで、俺は高梨に春を重ねたわけじゃないことを」

「それに俺にとっては、春が大切なのは変わらないから……幸せに毎日過ごしているところを見たかった」



わたしのために……って言ったら都合が良すぎるけれど、わたしと春さんは似てるから。


しっかり区別をつけようとしてくれた?



もちろん春さんは大事。長く強く好きだった昔からの幼なじみ。


だけど、わたしを選んでくれた。本当に?



……どうしよう、嬉しい。

だって……だって……。

この恋は、ずっと叶わないって……。

自分の気持ちに苦しんできたんだから。



心臓は、身体全身の脈が分かるほど、大きく速く動いている。高鳴りが聞こえる。


斎藤くんはわたしの目をずっと見ていた。

わたしはそれに対して、目を合わせたり、またそらしたり。

ーーどうすればいいか分からない。

< 132 / 215 >

この作品をシェア

pagetop