一生に二度の初恋を『あなたへ』


そうだ。この笑顔を守るって決めてたのに。自分のことに精一杯で今まで忘れてた。

自分を犠牲にしてでもって思ってたのに。


やっぱりこの恋は叶わなくていいなんて、嘘だった。


どうしても望んでしまった。


わたしは、叶って欲しかった。



「本当は今すぐにでも返事聞きたい、けど。明日行って戻って来たらもう一回言うから待ってて欲しい。

流石に二人でここ出るのはまずいから、俺……先出るな」


「うん……待ってる」


斎藤くんが教室を出た瞬間に小さく聞こえた『っしゃあ』という言葉。

繰り返し思い出す斎藤くんに関わる出来事たち。あの雨の日のこと。


全てがひっくり返った今日の日。



今日のことは、まだ信じられなくて、半分も理解できてないけど。


――わたしはこの日を絶対に忘れない。

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