一生に二度の初恋を『あなたへ』
そんな状況を突き破るかのように、お母さんがわたしと斎藤くんの間を遮って斎藤くんの身体を揺らす。
「尚くん、立って……あなたはわたしたちと違う‼︎」
「あなたはまだ終わった訳じゃない。まだ、大切な人を助けられる」
お母さんの声に突き動かされたように斎藤くんは顔を上げた。
「タクシー呼んだからもうすぐ来るはず。わたしも尚くんに付いてくから優は家にいて。夕飯作ってあるから」
「うん、分かった……」
そこからは流れるようにことが過ぎていった。
渋滞だったのか中々来なかったタクシー。
そのタクシーに急いで乗った二人はどこかに行ってしまい、わたしだけが置いて行かれたように取り残されると中に入ってシャワーを浴びた。
何だったんだろう……今までのことは。
頭が整理出来ないまま眠りについた。
その数日後。
帰ってきたお母さんに無言で小さなチラシの裏のような紙切れを渡された。