一生に二度の初恋を『あなたへ』


インターホンが鳴った後しばらくは静かだった。


そのうちに、ゆっくりと怠そうな足音が近づいて来るのが聞こえてきて、怖くて身を竦めた。


何を言われるのかな……。
また罵倒される?


足が震え出して、唇を思いっきり噛んだ。

本当は今すぐにでも、逃げ出したいのに辛うじて理性でこの状態を保っている。



「な……んで……お前……」


ドアが開くと同時に見えたお父さんは目を見開いているけれど、髭が少し伸びていてわたしが知っているお父さんとはまるで別人だった。


でも表情の作り方とかはやっぱりわたしのお父さんだと確かめることが出来るくらい昔と同じだ。


やっぱりお父さんだ……。


ドアを直ぐに閉めようとしたお父さんにわたしは反射的にそれを阻止した。


「お父さん‼︎お願い‼︎‼︎聞きたいことがあるの」


それでも強い力で閉めようとするお父さんの力には、もちろん負けるけど絶対諦めない。


怖いけど、怖いけど、わたしだってそれなりの覚悟で来たんだから。

ここまで来て、勇気を出して、引くわけにはいかない……‼︎

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