一生に二度の初恋を『あなたへ』
帰りのショートホームルームの後。やっと慣れ始めた教室で帰る準備をして。椅子に座ってホッと一息ついた。
最近先生から頼まれる雑用やら、何やらで忙しくて疲れる。
「高梨、湯川と一緒にプリントホッチキスで留めといてくれるか?教卓の上にプリント置いてあるから」
また…。今日で先生に雑用頼まれて何日目かな。ちなみに湯川くんっていうのはわたしと同じ学級委員の男子。
「分かりました」
仕事は百歩譲っていいんだけど、湯川くんと話したことないし、断られたら嫌だな……。今までも一人で全部やってきたしな。
そう思いながらも湯川くんに「今日先生に頼まれた仕事があるんだけど……」と勇気をだして言った。
「ごめん。今日予定あるから」
「あっそっか。じゃあわたしやっと…「何やってんだ湯川?ほら行くぞ」
「おぅ」
わたしが話し終わらない内に、他の男子に肩を組まれると、教室のドアが大きな音を立てて無造作に開かれる。
最初からわたしだけでやればよかった……。
心の中の苦い気持ちをギュッと潰すようにして、ホッチキスを取りに教室を出た。