一生に二度の初恋を『あなたへ』


桜……。



廊下を歩いていると、大きな桜の木から、全開になった窓に流れるようにヒラヒラと降りてきた花びら。


綺麗だよね……ここの桜。



わたしはゆっくり拾うとハンカチに包んで、ポケットの中にソッと入れた。



あ、そういえば今日花壇の花の水やりやってなかった。

水やりの係の人やってくれたかな……。


そんなことを思い出すけれど、心を奪われそうなくらい綺麗な桜にそんなことは忘れてまた見惚れた。


まぁ……いっか。



そういえば中学生のころ、春の中庭の風景がパンフレットに載ってて、この学校選んだんだっけ……。


高校生になったら、キラキラ輝けるって、この桜に似合う女子高生になるってワクワクしてた。

けど、今のわたしは……どうだろう。



「綺麗だ…よな…」

「え……?」

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