一生に二度の初恋を『あなたへ』
声をかけられた方に振り向くと、人気ものキラキラ転校生(勝手に名付けた)斎藤くんが横にいた。
背、こんなに高かったかな…?わたしが見上げないと顔が見えなくて、20センチ以上は差がありそう。
そっか。今まで立って横に並んだことなかったから気づかなかっただけか。
「高梨も綺麗だと思うよな?」
「うっうん」
「俺この学校案内されてさ、一番に目に止まったんだよな。この中庭の真ん中に、存在感放ってる大きな桜。
――あ、花びら。キャッチできっかなー」
斎藤くんは窓から外へぐいっと身を乗り出した。
わっ近い……近いです。
花びらを必至に取ろうとしている斎藤くんの身体が、わたしの肩に触れてる……。
ちょっと本当にこういうのに耐性ないからやめて下さい、なんて言葉は斎藤くんに届く訳もなく……。
少し経って斎藤くんは諦めたのかさっきの態勢に戻った。
「フリーズしてるけど……もしかして俺が誰だか分かんない?」
分かります。わたしの隣の席でクラスの人気者でキラキラで…‼︎
何か言おうとしても何を言えばいいか分からなくて、口をパクパクさせてしまった。
「魚みたいだな。例えるとしたら……何だろうな」
「へ!?」