一生に二度の初恋を『あなたへ』
・桜色のきっかけ
「あの……これ、いる?さっきキャッチしようとしてたから……。あ、もちろんカフェラテのお金も返すけど」
わたしはかちこちになりながらも喋って、廊下で拾った桜の花びらをハンカチから出した。
両手に乗せると、花びらは儚くて、今にもふわりと飛んでいきそう。
この花びら、ハート型っぽくて気に入ってたけど、こんなに斎藤くんにしてもらってばかりじゃ悪いもん、ね。
「ぷっ」
え?笑われた?
「――ごめんごめん。でも俺、さすがにそんな乙女趣味はねぇよ?
高梨にあげたら喜ぶかなって思ってたんだけど、逆パターンで驚いたー。
お金もいいし、それも高梨が持ってて」
「あの……えっと、ごめんなさい。でもお金はしっかり……」
そうだよね、男子だもん。桜の花びらなんていらないよね……わたし馬鹿みたい。
申し訳なく思いながら、桜をハンカチに包もうとすると
「……っ!!」
コーラが、開いた瞬間音を立てて吹き出した。一瞬にして斎藤くんの制服にも、シミのようにコーラが染み込んでいった。
急いで走ってきてくれたから、だよね⁉︎